同盟国アメリカに日本の戦争の意義を説く時がきた/ビジネス社
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資料
まえがきに代えて
総理、歴史家に任せるとは言わないでください!
「干天の慈雨」ということばがあるが、民主党政権下でずっと不安な思いをさせられ、いらいらしつづけた私にとって、安倍晋三政権の成立は「慈雨」にも等しいと感じられた。将来への大なる期待よりも、私などはこれで日本は危ういところを辛うじてやっと間に合った、タッチの差で奈落の渕に沈むところだったが何とか「常識」の通る社会をぎりぎり守ってくれそうだ、と、薄氷を踏む思いを新たにしているところである。
安倍晋三氏が官房副長官であった当時が『新しい歴史教科書』の最初の検定から採択への試練の時期であった。私は氏に何度もお目にかかり、窮境を救っていただいた。故中川昭一氏とご一緒のところをお目にかかることも多かった。教科書問題とか歴史認識問題に一貫してご両名は関心が深かった。
安倍氏が第二次政権の安定したパワーで再び同問題を支援して下さることを念願しているが、ひとつだけご発言で気がかりなことがある。「侵略」の概念は必ずしもまだ定まっていない、と正論を口にされたそのあとで、付け加えて自分は判断を歴史の専門家の議論に任せると仰有ったことである。昔から自民党の政治家はつねにこういう言い方をなさってきた。大平正芳氏も、竹下登氏も、あの戦争は侵略戦争かと問われて、政治家の口出しすべきことではない、歴史の専門家に判断を任せると言っていたのを覚えている。
しかしじつはこれが一番最悪の選択なのだ。なぜなら日本の歴史の専門家は終戦以来、自国の歴史を捻じ曲げ、歪め、「歴史学会」という名の、異論を許さぬ徒弟制度下の暗黒集団と化しているからである。文科省の教科書検定も、判断の拠り所を「歴史学会」の判定に求めているようである。だからいつまで経っても普通人の常識のラインにもどらない。「歴史学会」は若い学者に固定観念を植えつけ、ポストの配分などで押さえ込んでいる。この世界では日本の「侵略」は、疑問を抱くことすら許されない絶対的真理なのである。学問というよりほとんど信仰、否、迷信の域に達している。
日本史学会のボスの一人であったマルクス主義者永原慶二氏の『20世紀日本の歴史学』(吉川弘文館・平成十五年刊)に、「つくる会」批判の表現がある。戦後の日本史学界は東京裁判史観という「正しい歴史認識」に恵まれ王道を歩んできたのに、「つくる会」というとんでもない異端の説を唱える者が出て来てけしからん、という意味のことが書かれている。これによりはからずも日本史学会は東京裁判に今まで歴史の基準を置いてきた、と言わずもがなの本音をもらしてしまったのだ。マルクス主義左翼がGHQのアメリカ占領政策を頼りにしてきた正体を明かしてしまったわけだ。
安倍総理にお願いしたい。どうか「歴史の専門家の議論に任せる」とは仰有らないで頂きたい。それでは千年一日のごとく動かない。のみならず、北岡伸一氏たちの『日中歴史共同研究』のようなあっと驚くハレンチな結果を再び引き起こすことになるばかりだろう。どうか総理には「広範囲な一般社会の公論の判断に任せる」という風にでも仰有っていただけないかとお願いする。
内容(「BOOK」データベースより)
米中韓の「反日」勢力と日本の「売国奴」たちに宣戦布告する書。歴史認識をめぐる米中韓からの圧力を日本がはね返すキーポイントは?
◎カスタマーレヴューも興味深い・・・
じっくり読むとする。
最も参考になったカスタマーレビュー
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5つ星のうち 5.0 「日本の立場を主張すること」を恐れてはならない 2014/1/6
By 閑居人 殿堂入りレビュアー トップ10レビュアー
12月26日の安倍首相の「靖国参拝」は、9月に、「WILL11月号インタビュー」で飯島内閣参与が1年前安倍が首相就任直後に試みた「果たされなかった靖国参拝」を明らかにした時点で、既定の行動だったろう。このとき「飯島のメッセージ」に気づいた編集者・読者は、この事実をさりげなく封印したはずだ。このとき併せて飯島は、「小泉参拝」をリークした小野次郎元補佐官を厳しく批判しているからだ。中韓が反発するのは当然としても興味深かったのは、「アメリカ国務省の失望感の表明」だった。オバマ政権の「同盟国・日本」に対する不誠実と、政権が持つ国際認識の軽さ、甘さを露呈してしまったものだった。その後のあわてふためいた国務省の釈明、弁明を見れば、それは一層明らかである。
本書の著者、「西尾幹二」にとってこのようなアメリカの反応は、予想通りのものだったろう。西尾は言う。
「小泉内閣の頃、靖国問題で中韓両国が騒いでいても、米国は不思議なほどに沈黙を守っていた。安倍内閣になった頃を境に、東北アジアは変動し始めた。何かが代わった。中韓の歴史カードの黒幕がじつは米国であったことが仄見えてきて、それがいま、日本人一般に不安と衝撃を与えている新事実であることをしっかり見ておかなければならない」(冒頭の言葉)
多くの日本人が気づいているように、中韓の「靖国封じ込め作戦」は、事象の裏側でアメリカの「戦後秩序・戦勝国利権」と「アジアに於ける日本の覇権阻止」に大きく関わるものである。そこには、日本が過去の「大東亜戦争(太平洋戦争)」について公正な評価をしようとすることが、必然的にF.ルーズベルトが密かに日米戦争に誘導しようとした作為と過誤、「原爆投下」に代表されるアメリカの戦争犯罪を明らかにして、「アメリカが裁いた戦後秩序の欺瞞」を暴露してしまうのではないかという恐れがある。
ドナルド・キーンは、あるところで「(戦勝国アメリカの狡猾な欺瞞など)戦後50年も経てば、もう時効だろう」と語っている。確かに日本人は、過去の歴史の真実を探求する一方、敗戦を敗戦として受け止め、新たな戦後国際秩序の中で現実的で実りある国家形成を目指してきた。だからこそ、旧敵国であるアメリカとの「日米同盟」も、むしろ積極的に受け入れてきたのである。
しかし、西尾が本書で繰り返し語る言葉の背後には、「憂慮すべき危機感」がある。アメリカがまだ日本を占領しているかのように錯覚しているのに歩調を合わせるかのように、少なからぬ日本人が「未だに占領下の言論空間にある現実」から脱していないように見えるからである。
本書で西尾が「村山談話」について言及していることも、注目すべきものの一つだろう。
「村山談話なのだが、あそこに出てきたアジアへの謝罪は、実は表向きの話であると私は考える。あの文章の本当の狙いは、アメリカに向けられていた。敗戦国民であることを繰り返しアメリカに表明する自己処罰の証明こそ、村山談話の役割だった。だからこそ、自民党の歴代総理は、この文書に拘った。そう考えなければ、過去の自民党政府のこれほどの敗北精神は理解できない」(40p)
「村山談話」そのものの最初の発想は、ワルシャワで跪いたウィリー・ブラント西独首相に倣えという朝日新聞的左翼リベラルの発想だったろう。彼等は、「ワルシャワ蜂起」も「ワルシャワ・ゲットー蜂起」の区別もつかない、ヴィスワ河の対岸からポーランド人を見殺しにしたソビエト赤軍の司令官がポーランド人だったことも知らない、要するに複雑な背景などどうでも良い人びとだから、「謝罪談話」が格好良いものに見えたのだろう。
しかし、自民党の歴代総理がそれを継承したのは、単にアメリカとの摩擦を恐れた知的、いや、政治的怠慢である。この「怠慢」の積み重ねこそ、現在の日本の首を真綿のマフラーで締め付けているものに他ならない。
本書を通底する感情は、西尾の現状への「怒り」である。評者は、さほど世界を知る者ではないが、かつて旧共産圏を旅したときは、常に「怒り」と「やせ我慢」を友とした。「東ドイツ」で「ソビエト」で「チェコスロバキア」で、単に嫌がらせをしているとしか思えない、しかし頑として引かない窓口で最も有効な解決方法は、「(日本語で堂々と)本気で怒ること」と「やせ我慢」である。評者はオペラ歌手のように高らかに、そして顔を真っ赤にして、役所やトゥーリストビュローの一角で日本語と若干の現地語で怒鳴り続けた。眉をひそめられるかも知れないが、そして確実に成功するとも言えないが、まず「声をあげること」が現状を打破する第一歩なのである。
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5つ星のうち 5.0 中韓の反日の裏にあるもの 2013/12/29
By 大サダトン
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西尾先生は中国と韓国の反日は米国の策謀であることを暴きだしている。反日左翼と親米嘘保守派についても同様だろう。
米国は日本がまともな国となることを望んでいない。侮辱され金をむしりとられてもヘラヘラ笑って諂う日本を望んでいる。
米国、中国、韓国、北朝鮮、反日左翼、親米保守も日本を貶めるということでは利害は一致する。すべて反日である。親米保守も立派な反日である。
しかし、左翼と保守が頼りにする米国と中国は崩壊寸前である。ルーズベルト政権以来からの自らの国家戦略の過ちによる国力をすり減らしている。米国は自ら仕掛けた悪事の結果、自業自得である。中国は汚職、公害、少数民族、経済崩壊、偽札まみれetcで歴代王朝同様の末期症状である。もう日本は自らいやが上でも自立しなければならない時期に入ろうとしている。他国の歴史と文明を尊重しようとしない傲慢な似たもの同士の国はまもなく消える。当てにならないそもそも頼ってはいけない国家なのだ。来年の今頃両国がどのような惨状を呈しているか楽しみで仕方がない。
年末安部総理が靖国を参拝して韓国、中国さらにアメリカの怒りを買った。快挙である。米国が親日でないことが明らかとなった。西尾先生もほくそ笑んでいるであろう。
断言しておく。まもなく「日中関係を憂う」「日中関係のあるべき姿」「日中共存共栄」「時期が来れば分かり合える」「日中は手を取り合うべき」云々を寝言を述べるご意見番的な論者がマスコミに登場する。日中友好論者これを私は「日中友好の狗」と呼んでいる。なぜ狗か。犬に失礼だからだ。犬でも人の役に立つ、人を愛する。蛇でも人になつく。中国人には期待できない。日中友好の狗に警告しておく。中国の歴史をよく見ておくことである。日本が中国の支配下になったならばお前たちは消される運命にある。中国史の鉄則である。
追伸
年末、南スーダンで民族紛争が再発した。ダルフールで200万人以上の現地人が虐殺されたことの再来となる可能性がある。エネルギー確保に血道をあげる中国の節操のない武器輸出が最大の悲劇の原因である。この中国に「戦略的互恵関係」と称して膨大な支援を与えているのがわが国である。わが国は間接的な加害者である。本当に世界平和を望むのであれば一日も早く日中友好を終わらせるべきである。昨年は2600億円を拠出している。この金があればどれだけの日本人を救えるか。自殺者や倒産を防ぐことができるか。
日中友好の早期の終結を望んでやまない新年である。
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【新春特別対談】西尾幹二氏に聞く[桜H26/1/3]
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