たとえば、ヴァージニア・ウルフの「ダロウェイ夫人」を読んでから、川端康成の「水晶幻想」を読む。
たとえば、モラヴィア原作のシネマの「倦怠」を見てから、市川崑監督の「細雪」を見る。
そして、シュルツの「スヌーピー」を読んでから、長谷川町子の「サザエさん」を読む。
どちらが、勝ったとかそういう問題ではなくて、たとえば、フランスで食した「パテ」もおいしかったけれど、やはり日本人の私は、どうしても、「ちくわ」に甘くなる。
「オリーブの実」が大好きなんだけれども、「梅干し」が好きだな。
やっとそういうことが、力まないで感じることができるような年になったということか。
長谷川町子氏のこの表情、この写真が一番好き。
好きで好きで、どうしようもないくらいに、好きなことをやっている満足度の高い表情。
ただ、売れれば良いという、近頃の若き漫画家たちは、この写真をとくと見てもらいたい。
人の人徳は顔に出るのだと私は信じている。
日本人の繊細さ、きめこまやかさ、日常の工夫、不思議なしきたり、家族愛、・・日常のディテールがシンプルな線にとらえられている。
ユーモアがあり、ペーソスがあり、俳句や短歌のような、読後感がたまらない。
天才的な線で、世界に誇る長谷川町子。
再度読み直したい。
サザエさん 全45巻 完結コミックセット (朝日文庫)/朝日新聞社
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長谷川町子の写真のなかでこれが一番好き!!
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