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Channel:   心のサプリ (絵のある生活) 
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富岡鉄斎 バタフライ効果・・・・・・ 真の学びとは・・・

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私の尊敬する富岡鉄斎は70頃から作品が成熟しはじめ、80歳、90歳となるにつけ、作品が輝きをますます帯びたとされる、日本画の大家です。彼は、年をとっても、妙な頑固やひとりよがりの哲学などはなく、ひたすら日々、読書、主として漢文にいそしみ、そこからヒントをもらっては、自分の絵の序文にその「良き言葉」を書き出し、それから、自分の絵を一気に描きました。それが90歳すぎて死ぬまで続きます。鉄斎の息子は本に書き込みなどはしないタイプでしたが、鉄斎は、とことん書き込みもし、本の中にはいりこんでは、絵画の世界のヒントを模索。
学びのない絵はつまらないと一蹴。私はこのようにタイプの画家が好きです。

そこで・・・
バタフライ・エフェクト 世界を変える力/ディスカヴァー・トゥエンティワン
という本。昔、買っていて、最近再読。・・・・・
バタフライ・エフェクト 世界を変える力/ディスカヴァー・トゥエンティワン

¥1,080
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 どこの道にもころがっているただの石、それが路傍の石という意味ですね。
 映画にもなった山本有三の傑作。
 私はフェリーニの道の映画のなかで、自分勝手に、「どんなものでも、なにかの役にたっているんだよ」というセリフの意味と同じことだと思っています。

 バタフライ効果。

 1963年。
 マサチューセッツ工科大学の気象学者のエドワード・ローレンツは、バタフライ効果という仮説を唱えます。

 簡単にいうと、蝶がその羽を美しく動かすと、空気の微粒子が波動し、さらに空気の波動をよび、つぎつぎと空気中の波動に、つながっていき、ついには、地球の裏側の竜巻をよびおこすという仮説でした。

 当然、発表したローレンツは、会場の顰蹙をかって、追い出されたということですが・・・

 今、この仮説が正しいことが証明されています。

 1970年にノーベル平和賞を獲得した、ノーマン・ボーローグ。
 
 彼は少年のころに、父親と、とうもろこしばたけにいました。

 父親の「うちはこんなにとうもろこしがあるけれど、世界では、こんなとうもろこしさへ、食べることができない人がたくさんいるんだ」という言葉に触発され、その言葉を胸に、砂漠のようなまったく食物が育たないところでも、元気に育つとうもろこし栽培を研究して、ついに、苦難のうちに、それを成功させた男の子です。

 「おなかがすく感覚っていったいどんなものなのだろうか」
 少年は小さな頃から考つづけてきたんですね。

 最近の研究によると、彼の研究で、地球上の20億の人たちの命を救ったと計算されております。

  そして、彼に、協力し、多大なるアドバイスをした、ウォーレスという男性がいました。

 彼は・・・・

 というように、この本は、ひとつの偉大な業績の、バタフライ効果を逆に逆にたどっていくことで、豊富な写真とともに、不思議な感覚と、豊穣なる人類の智慧のバタフライ効果を、読者に与えることに成功しています。

 歴史というものは、思い出すことであるとした小林秀雄氏の言葉ではありませんが、幾重にも複雑にからみあいながら、蝶の羽のひとふりが、つぎつぎへと、あたらしい空気の振動を生み出す様は、奇跡のようで、読んでいて嬉しくなります。

  考えるヒントをもらえる本も今はなかなか多くはありませんが、簡単な物語の言葉のなかに、不思議な感銘をもらえる本もまた、少ないと思います。


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