Woodstock - Ten Years After - I'm Going Home
若い頃の感動した、たとえば、このアルヴィン・リーのロックにしても、ウッドストックのメンバーにしても、ほとんどアメリカ生まれのサウンドである。(ミックはイギリス)
そこに、私の時代はまだ、フランスやらイタリアやらドイツやら、の例えば、二ノ・ロータなどの、古典的なイージーリスニング的な美しいサウンドがプラスされる。
ウッドストックでも、本質的なところで議論されたのは、呼吸法の訓練などで、変成意識が生み出せるかということだろう。
それができない若者は、皆、ドラッグをやっていたと思う。
思えば、不思議な時代。
日本がアメリカの妾とか、笑われた時代かもしれない。
伝統的な音楽の排除。
シュールとダダの台頭。
破壊と否定。
当時のロック・スターや、jazzmenは、皆死んでしまった。
聞いたところ、あらゆる職業で一番短命なのは、詩人と、ロック・ミュージシャンらしい。
一番長生きなのは、坊さん。
だから、ミック・ジャガーと、谷川俊太郎と、瀬戸内寂聴女史は、すごいと思う。
私は、これらの曲を聞いたり、当時の名画を見たりするのは、その時の自分の心の位置をたしかめたり、ときめいたりした空気感を味わいたいだからだと、思っている。
思想的な共鳴ということを考えると、まったく今とは違う。
シュールもダダも、満足できない。
今は、ゲーテのような、小林秀雄氏のような、巨大な考え方に触れていたい。
(そう考えると、若い頃から読んでいた、三島由紀夫氏・小林秀雄氏・ドイツ浪漫派などは、
自分の血肉に少しはなっているのかもしれない。)
そして、深く共鳴するのは、日本と西洋の古典である。
300年の歴史しか持っていないアメリカと違い、時間のヤスリで
磨かれた古典・伝統というものは、やはり、重くて、深いのだと思う。
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しかしながら。
当時の私は、このウッドストックをわざわざ、札幌までひとりで見に行き、感動して、それからはずっとロック派になった。
瞬間の中の永劫という好きな言葉とこの時、ロックは重なり合ったのだった。
今。還暦一歩手前で、瞬間の中の永劫という言葉が、バロックの音楽と重なり合うように。
何歳のころか。
「惑星ソラリス」を見て、心から感銘した。
そして、このシーン。
バッハは高校生の頃から好きだったが、さらに、神秘も含めて、好きになった。
・・・・タルコフスキーという天才監督のおかげでしょうか。
誰しもが、心のなかの悪魔を「惑星ソラリス」の力で、呼び起こされているというのに、
彼だけは、昔愛した自分の妻を、潜在意識のなかから、呼び出してしまう。
その愛と葛藤・・・・・・
SFの名作古典。
私が強烈に、影響を受けたSF映画、「ブレードランナー」「2001年宇宙の旅」「コンタクト」そして、この「惑星ソラリス」。